▼Shipping and Trade News 20040602付掲載


日本初の海事保安コンサルタントがISPS履行サポートを提供

まだISPSコードの要件を満たし、認証を受けていない日本船主は、日本初の海事保安コンサルタントの助けを借りてIMOの新しい強制要件を履行することが可能である。

 昨年8月に、もと海上保安官によって設立された東京に本社を置く(株)IMOSは、7月1日に発効するコードに規定されている保安計画を船主が策定するのをサポートする準備があると、業務部の課長でもある山川仁彦氏はShipping and Trade News紙に語った。

 また山川氏は、IMOSは海事保安に関する情報や海外の法規定情報と共に、船内と陸側両方のスタッフの保安訓練を提供することができると語っている。

 日本の船主は期限までにISPS Codeの要件を満たすことの重要性はよく分かっているが、山川氏は、彼らは証書を取得することにばかり一生懸命で、船舶の保安そのものにまでは気が回っていないようだと感じている。

 1枚の紙(ISSC)をテロリストにひらひら振って見せても、それでテロリストが退散するわけではない(と彼は語っている)。

 ISPSの要件を満たすことは、船社にとって真のセキュリティー文化を育てていく最初の一歩に過ぎないのであって、7月1日以降は、安全な運航のため、そして船の保安が脅かされた際に適切な行動が取れるよう、スタッフに継続的にトレーニングを受けさせる必要があるというのが山川氏の意見である。

 IMOSであれば船社に適切なトレーニングプログラムを策定、実施することができる。また、そのトレーニングは一社だけではなく、海上保安庁のような団体を含めた他の組織と共同で実施することも可能だと付け加えた。

 日本のオペレーター達にセキュリティーの大切さを認識してもらうのに、日本は直接テロの被害に合ったこともなく、安全な国であるという彼らの一般的な思い込みを変える必要があると山川氏は指摘している。

 セキュリティー(船の安全)はただで当然と考えるオペレーターにとって、これからはその安全を維持するのにお金をかけなければならないというのはショックな話だろうと、山川氏は冗談ぽく付け加えた。

 海賊が特定の地域でしか現れないのに対し、テロはどこででも起こりうるということを山川氏は特に強調している。

 たとえば、もしも東京湾でテロが起こったら(彼らの安全に対する意識に)非常に大きな影響をもたらすだろうと彼は語った。

 テロのあらすじにあまりこまかく立ち入るのは気が進まないのだが、山川氏は、大きな船や港湾施設は小さな船によって脅かされることを強調している。

 2002年にイエメンで起きたタンカー”LIMBURG”への攻撃や今年4月にイラクで起きた原油積み出し施設への攻撃は小さな船によってなされた−数々の海賊の攻撃で証明されているように小さな船はハイジャックされやすく、その後他船への攻撃に利用されるのだと彼は語った。

 保安計画(原案)策定やサポートを精力的にこなすだけでなく、現在IMOSは、海事保安やテロ、その他犯行為に関する幅広い情報を通して新たなサービスを提供すべく準備を進めている。

 日々変化する寄港先の国の保安に関する要件は、オペレーターにとって非常に重要な情報だろうと山川氏は推測する。

 世界中のさまざまな取り締まり機関と連絡をとりあって、IMOSも、日本のオペレーターが保安に関するルールの変化に置いていかれないようにすると、山川氏は付け加えた。
(David Young)